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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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エアアジアの再成長への賭け

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 東南アジア格安航空会社(LCC)最大手エアアジアが、成長戦略を見直している。経営の重荷だった赤字路線を一気に縮小するとともに、競合が少ない地方路線に限り路線を新設する。保有機体の絞り込みも進める。アジア市場の過当競争もあり、LCCは成長鈍化に直面していたが、エアアジアは従来の拡大路線を大きく転換。LCCの原点である機敏で身軽な経営へ回帰し、厳しい消耗戦が続くなかでの業績回復を探る。
 
 「闇雲な拡大はやめた」。トニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)は語り、東南アジア全域で路線網を張り巡らせ、圧倒的なシェア獲得を目指した過去の戦略の軌道修正を図っている。
 
 クアラルンプール取引所に上場する同社の株価は4日、1.73リンギで取引を終えた。昨年8月につけた安値に比べ2.3倍に上昇した。株価の回復は足元で急改善した業績が支える。20151012月期の最終損益は5億5,400万リンギ(約150億円)の黒字(前年同期は4億2,900万リンギの赤字)にまで回復した。
 
 業績改善は昨年から進める戦略転換の効果が大きい。1つ目が路線の大胆な取捨選択だ。大なたを振るったのは不採算路線が多いインドネシア事業で、20151012月期の運航便数は前年同期比3.4%減らした。国営ガルーダ・インドネシア航空傘下のLCCやライオン航空との競合が激しい同市場は慢性的な赤字だ。売上高は4割近く減ったが、営業赤字の2割削減に成功した。
 
 アジア航空市場は拡大を続けるが、激しい競争を背景に航空各社の業績は悪化している。かつてはLCCが老舗航空会社に挑む構図だったが、足元ではLCC同士の料金競争で消耗戦が続く。そこでエアアジアは激戦地の根比べからは一歩引き、地方路線の開拓に力を注ぐ戦略に転換した。

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 昨年以降に発表したマレーシア発の14の新規国際路線のうち13路線は少なくとも発着地のいずれかが首都以外の地方都市で、このうち10路線は競合相手がいない独占路線だ。マレーシア市場の乗客数は20151012月期に前年同期比10%増え、営業利益は約4倍に拡大した。「独占路線の開拓は今後も続ける」とフェルナンデス氏はいう。
 
 もう1つの戦略転換は機体の絞り込みだ。マレーシア、タイ、インドネシアの主要3市場の保有機体数は2015年末で142機と1年前から9機減らした。自社保有にもこだわらず、2015年の1年間で16機を売却し、リース契約に切り替えた。売却資金で通貨リンギ安で返済負担が重くなっているドル建て債務1億5千万ドル(約170億円)を圧縮するだけはない。2001年の創業当時に武器としていた、整備時間短縮による機体を効率的に活用する姿勢を取り戻す狙いがありそうだ。

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 エアアジアは201412月期まで純利益が2期連続で大幅に減少した。特に20141012月期は主力のマレーシア事業で座席数を8%増やしたが、厳しい競争で乗客数は減少に転じた。同年末にはインドネシア沖で墜落事故も起こした。順調な拡大路線に暗雲が垂れこめるなかで、経営のベクトルを一気に転換する賭けに出た。
 
 2015年の業績改善は同社を取り巻く経営環境の変化が後押しした側面もある。原油安による燃料コストの削減は利益水準を押し上げた。実質的に経営破綻したマレーシア航空が収益重視に転換し、価格競争が緩んだことも売り上げ増につながった。アジア市場の激しい競争は変わらず、好業績が続く保証はない。
 
 「重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行、バリ島で起きた爆弾テロなど多くの難題を乗り越えてきた」。フェルナンデス氏はシンガポールの南洋工科大学が主催した講演会で語った。
 
 アジア市場での消耗戦は航空各社の経営を圧迫しており、M&A(合併・買収)による業界再編が不可避との見方も出ている。フェルナンデス氏はかつて日本経済新聞に「他の航空会社とは組まない」と話し、M&Aに慎重な姿勢を示したが、エアアジアが有力なプレーヤーになる可能性もある。いかに過当競争を乗り越え、再び勢いを取り戻すか。2016年は帰趨(きすう)を占う年となる。(日経新聞等より)





 東南アジアでもLCCが乱立しており、市場は拡大しているが、過当競争となっている。やはり、安全や業績悪化を無視した競争は、長く続かないだろう。












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