世界で最も「高い」空港が開港したそうです。2013年9月16日から、中国・四川省の稲城県の「稲城亜丁空港」が供用開始し、世界で最も高地にある空港となりました。
高度は4,411メートルで、これまで最も高かったチャムド・バンダ空港の4,334メートルを約80メートル高くなりました。ちなみに滑走路長は4,200メートルです。
この世界で最も高い場所にある空港には、定期便でアクセスが可能で、現在、中国国際航空が成都発着でA319を使用し、デイリー運航し、今後、広州、重慶、上海線の開設計画もあるそうです。
でも、標高の高いところに立地する空港は、パイロットの間でよく「離着陸がむずかしい」と言われてきました。
何故なのかは、旅客機の主翼に発生させる「揚力」のメカニズムがかかわっているそうです。
旅客機は主翼の上面が前縁から後縁に向かってふっくらと丸くふくらんでいて、そこに早い速度で空気が流れることで生じる空気の圧力差(負圧)が機体を上に持ち上げる揚力になる。
しかし高地にある空港はもともと気圧が低いため、主翼に大きな圧力差を生じさせるのがむずかしい。標高2,000メートルを越える高地では気圧が20%程度低くなるため、旅客機の性能も20%低下してしまう。つまり同重量の旅客機が離陸するためには、標高2,000メートルの高地では通常より20%長く滑走する必要があり、反対に同じ滑走距離で離陸するには重量を20%減らさなければならない計算になります。
高地の空港では離着陸がむずかしいとされてきたのも、以上のような理由からで、日本でもっとも標高が高い空港は松本空港の657.5メートルだが、世界には富士山(3,776メートル)よりも標高が高い空港が数あります。
現在、世界一高い場所にある空港は、先に述べた中国・四川省の稲城県の「稲城亜丁空港」になりましたが、2位になった今までの世界一は、中国チベット自治区にあるチャムボ・バムダ空港です。その標高は4,334メートル。高地にある分、離陸には長い滑走距離が必要で、同空港では5,500メートルという世界一の長い滑走路が整備されているそうです。
チベットには中枢都市のラサにラサ・クンガ空港もあり、こちらも標高は富士山より高い4,004メートル(滑走路は4,000メートル)。このラサ・クンガ空港は、中国国際航空が四川省・成都とネパールのカトマンズを結ぶ路線の中継地となっていて、このフライトが一部のエアラインファンの間で人気だそうです。
成都からラサに到着した便が準備を終えて再び離陸すると、気圧が薄いなかをエンジン全開にして一気に高度を上げて急上昇。眼下に8,000メートル級の山々が連なるヒマラヤ山脈を見下ろしながら、飛行していく。
この壮大な景色を眺められるのは同便に搭乗した人たちだけの特権とあって、一度は体験したいと夢見る旅行者たちが世界中から絶えないそうです。
尚、チベットでは現在、世界一高い空港を超える標高4,436メートルの高地に空港を建設する計画も進んでいるようだ。
欧州で富士山より高い場所に行ったことがあるが、空気が薄く心臓が弱い人にはとても薦められない空港でもあるようです。