7千以上の島々からなるフィリピンは、島の数だけ違った魅力を持つ楽園リゾートである。素晴らしい自然を背景に魅力のある多くの観光資源と、陽気で親切で親しみやすい国民性との相乗効果で、世界屈指の観光立国になりうる潜在力を有する国である。
実際、ボラカイ島などは、各種の世界人気リゾート・ビーチランキングにおいて、トップ、あるいは上位を占めるようになっている。そのほかの主な観光地としては、マニラ首都圏及びその周辺、セブとその近接地のボホール、パラワン、避暑地でもあるタガイタイ、バギオなどが挙げられる。
また、非常に陽気で英語力に優れるフィリピン人は、ホテルなどの観光・旅行産業に向いており、人的資源という観点からも豊かな観光資源を有する国であるといえる。
このような有望なフィリピン旅行・観光産業(以下、旅行産業と記す)に関して、国家統計調整委員会(NSCB)が、2014年の業界動向を発表した。
それによると、2014年の旅行産業の直接粗付加価値額(TDGVA:名目ベース、以下同様)は、前年比14%増の9,824億ペソに達し、TDGVAの名目GDP(国内総生産)に対する寄与度は7.8%、すなわち、GDPにおける旅行業界GDPのシェアは7.8%であった。ちなみに、2012年は6%であった。
旅行産業は経済の様々なセクターに影響を及ぼしており、TDGVAは国内の旅行者及び訪比(インバウンド)旅行者の観光活動との関連で異業種の付加価値を計る指標として役立つ。
旅行関連産業のうち、宿泊、買い物(お土産・観光商品等)、移動(交通)への消費が上位を占め、それぞれTDGVA全体の32.6%、15.3%、12.6%を占めた。その他のシェアは、娯楽・レクリエーションが10.9%、旅行代理店・その他予約サービスが8.6%、飲食サービスが4.7%であった。訪比旅行者(外国人旅行者及び在外比人旅行者)の支出は拡大傾向にあり、2014年の消費額は前年比21.9%増の2,746億ペソに達した。これはフィリピンの輸出総額の7.6%に相当する。
フィリピン居住者の国内旅行あるいは海外旅行の一部として国内で支出するものを含め、国内観光消費額は前年比24%増の1兆4,690億ペソ。これは家庭最終消費の16%に相当する水準である。
一方、旅行関連産業における就労者数は480万人で、前年(470万人)から小幅ながら増加、国内の総就業者数の12.5%を占めた。雇用面でも旅行産業の重要性が高まっているといえる。
以上の数値はフィリピンサテライト勘定(PTSA)の最新データに基づいている。PTSAは国家統計調整委員会(NSCB)が観光省(DOT)、NSCB観光統計庁間委員会の協力を得て作成されている。(国家統計調整委員会発表等より)
ただ、フィリピンの2014年外国人旅行者数は政府目標の650万人には届かず、500万人にとどまった。これは空港を含めた観光関連のインフラ整備の遅れが起因していると思われる。
フィリピン政府は、旅行者数の拡大に向けて、同国の空の玄関口であるマニラ空港の拡張をはじめ、地方空港の開発に注力するなどインフラ整備を推進しているが、観光地やそこに行くまでの道路等を含めた整備が必要で時間が掛かるようだ。
バコロドの山の方に、源泉が92℃のマンブカル・リゾートがある。今は温水プールをはじめ、様々な施設もまぁまぁ整備され、そこに行く道路や手軽にバコロドから行ける交通手段もあり賑わっているが、私が最初に来た時は、酷い状況なので客も少なく、私自身も二度と来ないと思ったこともあった。
同国にはまだ知られていない観光地が多数あることから、自然や歴史文化等の魅力を伝えたり、新たな観光地の開拓して整備も充分する必要があるようだ。