世界的に猛暑や極寒が報じられることが多くなり、地球温暖化への懸念が強まりつつあるせいか、異常な気温と健康の関係に関心が寄せられているようです。
高温や低温は、循環器疾患、呼吸器疾患をはじめとして、様々な病気の発症や悪化に影響を及ぼすことが示されています。しかし研究者の間でも、高温と低温のどちらが健康により大きく影響するのかについては意見が一致していません。
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAntonio Gasparrini氏らは、日本を含む世界の13カ国で、様々な原因で死亡した人の死亡時点の外気温を調べて、死亡率が最も低い温度を明らかにしました。次に、この温度をそれぞれの国で生存に最適な気温と考えて、それより高温または低温にさらされたことが原因と考えられる死亡者の数を推定し、全ての死者に占める割合を推算しました。
研究者たちはまず、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、イタリア、日本、韓国、スペイン、スウェーデン、台湾、タイ、英国、米国の計384カ所で、経時的に記録されていた、死亡と、天候に関する数値(気温など)、大気汚染レベルなどのデータを集めました。次に、各国の最適気温を見つけて、それより高温または低温にさらされたことによる死亡がどのくらいあったのかを推定しました。
日本については、国内の47カ所のデータをあわせて分析しました。調査期間は1985~2012年で、それらの地域の総死亡者数は2,689万3,197人でした。
分析の結果、日本の年間平均気温は15.3℃で、死亡が最も少ない気温は26℃であることが明らかになりました。測定された気温の分布に基づき、26℃より低い4℃~26℃までを「低温」、4℃よりも低い場合を「極低温」、26℃から30℃までを「高温」、30℃より高い場合を「極高温」と定義して、死亡者数を比較したところ、日本では高温と極高温が原因の死亡はわずかでした。
一方で、低温(4~26℃)にさらされたことによる死亡の割合はかなり多く、極低温(4℃以下)によると思われる死亡は、高温(26~30℃)と極高温(30℃以上)による死亡を合わせた割合よりも高いという結果になりました。
調査対象国すべてのデータを合わせると、最適ではない気温が原因と考えられた死亡は、死亡全体の7.71%を占めていました。国ごとの差は大きく、最低はタイの3.37%、最高は中国の11.00%で、10.12%だった日本は、中国、イタリアについで第三位でした。また、全体では、すべての死亡の0.42%が高温に、7.29%は低温に、0.86%は極低温または極高温にさらされたことが原因と推定されました。
日本人の死亡リスクが最も低いのは気温26℃で、ちょっと肌寒い~寒い程度の気温にさらされることが死亡のリスクを高めるという、ほとんどの人にとって意外な結果が、Lancet誌に報告されました。(日経グッデイ等より)
誰もが、寒さの方が身に堪えると思っていたことを調査したのは良いと思う。日本人は低温に起因する死亡に要注意とあり、寒い国より暖かい国に住むのは健康面で良いようだ。ただ、日本は春と秋は良いが、夏は蒸し暑い極高温が、冬は極低温が続くのは健康のためには、良く無いだろう。
フィリピンも地域によって、雨期と乾季が少しづつ違うが、温度の変化は緩やかなので、日本の夏の期間はフィリピンの方が過ごし易いし、日本の寒い冬の期間はとても快適と思う。