マニラ首都圏のニノイ・アキノ国際空港(NAIA)はアジア太平洋地域で最もリスクの高い空港の一つと、国際航空運送協会(IATA)がこのほど発表した報告書「マニラ空港の短期・長期の優先事項」で、航空各社がNAIAの安全性と運営面を憂慮している実態が明らかになった。IATAは、離着陸回数の増強や新空港の設置を含めた短期~長期の改善策を提示している。
IATAは統計や報告書の公表などを通じて、各国の航空業界による重要案件の方針策定を支援している。NAIAを対象とした今回の報告書は、「安全性と運営面での短期的な懸念事項」「設備の取扱能力」「所有権と管理」の3項目について言及した。
「安全性と運営面での短期的な懸念事項」によると、2010年から2013年にかけてIATAの加盟航空会社はNAIAを「アジア太平洋地域で最もリスクの高い空港の一つ」と認識。空中待機が多い、進路変更が多い、航空交通管制とのやり取りが一般的でない、などの点で不安を抱いたという。滑走路の整備については2012年以来、標識、照明、マーキング(路面標示)などを問題視する声が増えている。
NAIAはこうした問題点に加え、増加する航空便への対応という課題も抱える。IATAは「設備の取扱能力」の項目で、安全性と運航効率を高めるとともに、取扱能力を改善する必要があると指摘する。NAIAだけでマニラ首都圏の航空需要を吸収するには限界があるとし、中部ルソン地方パンパンガ州にあるクラーク国際空港の利用を促しつつ、首都圏の中心地から半径50km以内に新空港を設置することが長期的な解決策になると説明した。
即座に採用するべき対策としては、離着陸の回数を挙げ、1時間当たり40回の離着陸を4割増の56回へ引き上げることで、慢性化している空港の混雑緩和につながるとの見方を示した。
IATAには約250の航空会社が加盟し、世界の航空交通のシェア84%を占めている。(NNA等より)
フィリピンのマニラ空港(NAIA)は、世界のワースト空港に入るのが一般人だけでなく、航空会社も認めているようだ。
混雑が慢性化しているマニラ空港の代替え空港もしくは首都圏第2空港の建設を検討する空港候補地などの同調査は、来年3月までに纏められるそうだ。最有力のカビテ州サングレーポイントを含む8ヶ所が候補地として検討されている。
もし、最有力とされているサングレーに建設する場合の総工費は109億米ドルと言われ、2025年に共用開始と見込んでいるが、マニラ湾をぐるっと回るので中心部から遠く、その空港への交通インフラはどうなるのか心配でもある。最もマニラにあまり用の無い私としては、乗継をしっかりして貰えればよいのだが、国の玄関口としては疑問が残る所である。
余談の話しではあるが、セブパシ航空は8月15日から、マニラ発着のマレー・カティクラン、ブスアンガ、ラオアグ、ナガ行きなどのATRまたはターボ・プロップ機の運航便については、マニラ空港ターミナル4(旧国内線ターミナル)を発着する運航に変更となります。また、旧タイガーエア・フィリピン(現セブゴー)によるフライトは、同日から全てマニラ空港のターミナル3からの運航になります。これらの変更は、マニラ空港の滑走路拡張のためのものです。