油脂大手の不二製油(大阪府泉佐野市)は、フィリピンに新会社を設立すると発表した。油脂製品や製菓・製パン素材の販売を始める。2018年には売上高3,000万米ドル(約36億円)を目指す方針。生産拠点の設置も視野に入れている。
マニラ首都圏マカティ市にシンガポールの東南アジア統括会社フジオイル・アジアが100%出資する販売会社「フジオイル・フィリピン」を今月設立する。資本金は20万米ドルで、フィリピン人従業員3人体制で今年9月から営業を開始する予定。油脂製品の販売から始め、製菓・製パン素材であるクリームやチョコレート、マーガリンなどラインアップを広げる。
取扱製品はシンガポールやマレーシアといった近隣諸国の同社グループ会社から輸入する。2018年に販売数量2万トン、売上高3,000万米ドルを目指す方針だ。
担当者は、不二製油にとってフィリピンは成長市場であることに言及。「市況次第では生産拠点の開設も考えている」と明らかにした。
不二製油は1994年から子会社ニュー・レイテ・エディブル・オイル・マニュファクチャリング(NLM)を通じて、レイテ島で製菓原料となるヤシ油の生産工場を操業していた。しかし、同拠点は2013年の大型台風ヨランダでほぼ全壊。2014年4月に生産を撤退すると発表し、現在は事業活動を停止している。
2015年3月期連結決算によると、不二製油の売上高は前期比7.5%増の2,719億300万円、本業のもうけを示す営業利益は同6.8%減の142億1,100万円。同社はチョコレート用油脂(CBE)で世界トップ3、コンパウンドチョコレートで世界6位のシェアを持つ。
伊藤忠商事が最多の株式を保有しており、出資比率は2015年3月31日時点で23.96%となっている。(NNA等より)
不二製油はヤシ油を南方系油脂事業の発祥としており、フィリピンとはヤシ油事業を通じ長年にわたり深い関係を築いてきした。1994年にはニュー・レイテ・エディブル・オイル・マニュファクチャリング社(NLEOMC、・レイテ島)を設立、ヤシの搾油事業を行ってきたが、2013年11月フィリピン中部を襲った台風30号(フィリピン名:ヨランダ)により同社工場が被災、事業活動を停止している。新会社「フジオイルフィリピン社」は、フィリピン市場の顧客に密着し、市場のニーズに合致した製品を販売することによりフィリピンでの新たな事業展開を図っていくようだ。
いずれはフィリピンで製造を再開すると思われるが、台風30号の被害を受けた工場は約42haの敷地であるが、近辺はココヤシが大きな被害を受けており、また新たにココヤシを育成してココナツが収穫できるまで6~10年かかるとされるので、復興には時間がかかることを考えれば、他の場所も検討すると思われる。