会社員らが入る厚生年金基金のうち、2014年末時点で290基金が解散を予定し、その9割にあたる261基金が2013年度末時点で企業年金の積み立て不足に陥っていることがわかった。261基金の年金受給者と現役社員の加入者は計306万人にのぼる。積み立て不足を穴埋めできずに解散する基金では、企業年金がなくなったり減額されたりするおそれがある。
厚生労働省のモデル例では、厚生年金基金の企業年金は月に7千~1万6千円になっている。企業年金を受け取る期間は10~20年の人が多く、支給されなくなれば「最大で数百万円の権利を失う」(神奈川県の基金)という人もいる。
厚労省がまとめた資料をみると、厚生年金基金は昨年末時点で483基金あり、このうち290基金が解散を予定していた。
解散予定の基金のうち261基金は企業年金の積み立て不足だという。なかでも78基金は企業年金の積立金がなくなったうえ、厚生年金の代行部分まで積み立て不足に陥っていた。78基金の年金受給者と現役加入者は計103万人になる。
解散する場合、厚生年金の代行部分は基金に入る企業が不足分を穴埋めし、厚生年金は国から支給される。しかし、企業年金は解散により原則として支給が打ち切られる。
企業年金の不足分を穴埋めできず、積立金がない場合は企業年金はそのままなくなる。積立金が残っていれば、残っている分だけ受給者や加入者に分配する。
余裕がある企業は解散後に新たな企業年金をつくって積立金を移し、支給を続けるなどの可能性もある。ただ、厚生年金基金は中小企業が多く、新たな企業年金をつくる余力がある企業は多くないとみられる。
2014年4~12月に解散した37基金をみると、少なくとも19基金で企業年金の積立金がなかった。また、解散を今後予定している基金でも「愛知県石油」や「大阪自動車整備」などは企業年金の積立金がなくなっていた。
厚生年金基金は1990年代には約1,900基金あった。だが、高齢化で年金受給者が増えたのに現役加入者が減ったことや、株価低迷で運用が悪化したり積み立て不足になったりして基金数が減っている。
厚労省の資料では、2011年度末には577基金のうち561基金が企業年金の積み立て不足に陥っていた。最近は株価回復で運用が改善し、2013年度末には531基金のうち積み立て不足は419基金まで減ったものの、まだ多くの基金が不足額の解消に至っていないようだ。
厚生年金基金は、会社員らが入る年金の一つ。国から厚生年金の積立金の一部(代行部分)を預かり、企業が社員のために上乗せする企業年金(上乗せ部分)とともに運用している。昨年末時点で483基金ある。多くは中小企業が業界や地域ごとに集まる基金だが、2012年にはAIJ投資顧問による詐欺事件で多くの基金が預けていた資金を失った。(朝日新聞等より)
自営業の人たちが入っている国民年金(月額平均6万円)よりは、厚生年金(月額平均6万円+10万円)の方が多く、その上に厚生年金基金がある会社が企業年金(月額平均7千~1万6千円)として上乗せされていたが、その分が無くなるという話です。
少子高齢化で年金も少しずつ減額されたうえ、企業年金も無くなるという寂しい世の中になってきましたね。
フィリピンのように平均年齢が23歳で若年層が多く、年寄りが少ない人口ピラミッド形のときに、年金を貰うようにならないと駄目なようです。