フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。
「マニラベイ・エンターテインメントシティー」においては、汚職疑惑で揺れるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われつつある。
その4グループのなかで、先ず、当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)が、3月16日にカジノ・リゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)がオープンした。
ソレアに続き、SMグループ総帥ヘンリー・シー氏傘下の娯楽・不動産企業ベルコープ・グループと、オーストラリアの富豪ジェームス・パッカー氏傘下のカジノ企業メルコ・クラウン・エンターテインメント社(MCE)が、カジノ・リゾート「ベル・グランデ」(推定コスト10億米ドル)を開設する計画である。
MCEはマカオのメルコ・インターナショナルと豪州のクラウンの合弁企業であり、マカオの有名カジノ「シティ・オブ・ドリーム」の開発・運営企業である。
MCEのフィリピン現地法人であるメルコ・クラウン・フィリピン(MCP)は、この大型カジノ・リゾート建設に備えるべく、組織の強化を図るとともに、4月には資金調達を実施した。このMCPは6月21日に株主総会を開催、本社所在地を現行のマカティ市サルセドから、パラニャーケ市タンボ(ロハス通りとアセアナ通りの交差点付近)へ移転することなどを決議した。
MCPのクラレンス・チュン会長は株主総会後のインタビューにおいて、「ベル・グランデ」プロジェクトは順調に進展しており、2014年央に開業の運びとなるとコメントした。「ベル・グランデ」は950室、カジノテーブル240台、スロットマシン1,250台などを備えた大型カジノ・リゾートとなる見込み。
3月開業の「ソレア」は、開業後半月間の収入は5億7,830万ペソに達したと発表されている。内訳はカジノ収入が4億9,560万ペソ、飲食店収入が5,710万ペソ、小売り収入が100万ペソ、通信・運輸収入が150万ペソとの事。開業後2カ月半(5月末現在)で13億ペソに達し、フィリピンのカジノ産業規模は25億米ドルに達するとみられている。
これに「ベル・グランデ」等、順次開業すれば一大産業に発展していきそうで、
誰が儲けて誰が損するかは判らないが、カジノ自体が一番儲かりそうだ。