2020年の東京五輪の開催を見据えた日本の交通ネットワークの未来図が示された。訪日外国人客の受け入れ窓口となる羽田と成田の両空港では、国際線の就航都市数を最大で6割増やし、韓国などアジアのライバル空港並みに引き上げる。格安航空会社(LCC)の就航も大幅に伸ばし、2020年に訪日外国人を2千万人に倍増する目標の達成をめざす。
国土交通省が、2020年度を目標とする交通政策のあり方を示す「交通政策基本計画」の中間とりまとめ案を示した。
同計画の大きな柱が東京五輪をにらんだ交通網の整備。羽田と成田を合わせた「首都圏空港」では、国際線の就航都市数が2013年で88都市。韓国・ソウル(143都市)や香港(138都市)、シンガポール(134都市)は、130~140都市で大きく水をあけられている。これを2020年にはアジアのライバル並みに増やすと明記した。
訪日客の取り込みには、割安な旅行ができるLCCの普及も欠かせない。このためLCCの誘致を強化し、国際線の旅客数に占めるLCC客の比率を7%から17%に伸ばす目標も掲げた。
首都圏空港では、年間発着枠を今年度末見込みの約75万回から2020年までに最大8万回増やす計画だ。この実現に向けては、都心を低高度で飛ぶ新たなルートを実現する必要がある。国交省は今月下旬にも東京都や川崎市など自治体の幹部を交えた協議会を立ち上げ、地元の理解を取り付ける。増えた発着枠の大半は国際線に充てる考えだ。
航空網の拡充は、地方都市でも展開する。現在は入国審査官や税関職員が足りず、地方空港から入国する外国人旅客が1~2時間待たされることもある。旅客ターミナルの拡張や職員の増員で混雑緩和を図り、LCCが地方空港に就航しやすい環境を整える。
ただ、日本の空を充実させるうえでは課題も少なくない。
足かせとなりかねないのがパイロットの不足だ。すでにピーチ・アビエーションなど複数のLCCが必要な人員を確保できないことを理由に、減便や就航遅れを余儀なくされるなど影響が顕在化している。
国交省は従来の航空大学校による育成に加え、学費負担が重い私立大の学生向けに奨学金を手厚くする。2012年に年間120人だった新規就業者を2020年に210人へ引き上げる目標も盛り込んだ。
政府は訪日客の拡大を成長戦略の柱に据え、受け入れ体制の整備を進めるが、外国人旅客の獲得は世界が競っている。
韓国の仁川空港は昨年秋に新ターミナルの建設工事に着手した。2017年末に完成すれば旅客の受け入れ能力が現在より40%多い年6,200万人へ増える。
中国でも北京(97都市)や上海(83都市)で、新空港の建設や滑走路の増設計画が控える。旅客需要の拡大が見込まれるアジアのハブ空港の座をめぐる競争は激しさを増している。(日経新聞等より)
国際線の就航都市が増えることは、それだけ各国に行き易く便利になるので良いことだと思われる。
訪日外国人を増やすには、国際線の就航都市数や国際線旅客に占めるLCCの割合を高めるだけでなく、日本には少ない無線LANが使える場所を増やしたり、交通網の整備も必要だ。最近、東日本JRが羽田に乗入れる新線を表明しているが、今後もいろいろと出てきそうだ。