「遺族年金」や「障害年金」は非課税ですが、通常の老齢年金には所得税が課せられます。でも、もしかすると、年金を受給されている方の中には、「税金を納付している覚えがない」と思われる方もいるかもしれません。
2009年10月から、65歳以上で年額18万円以上の老齢年金を受給している場合には年金から天引きで源泉徴収されているのです。但し、①65歳以上②収入が年金のみ③年金の額が年間158万円以下――の方は、所得税がかかりませんので、源泉徴収されることもありません。
逆に、年金の収入がそれを超える場合には、源泉徴収された上で、年金が振り込まれることになります。公的年金の受給総額が400万円以下で他の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、その額を超える場合は必要です。また、医療費控除や住宅ローン控除などを受ける場合などは、確定申告によって源泉された所得税が還付されるかもしれません。
確定申告の際には1月中旬ごろに日本年金機構から送られてくる源泉徴収票が必要になりますので、紛失しないようにしないといけませんね。
源泉徴収額は、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出している場合としていない場合で異なりますので、注意が必要です。公的年金等の受給者の扶養親族等申告書は、日本年金機構からはがきで送られてきます。昨年も扶養親族等申告書を提出された方(継続提出者)には青いはがき、昨年、扶養親族等申告書を提出する必要がなかった方(新規提出者)には墨色のはがきとなります。
○この扶養親族等申告書を提出していない場合には、
源泉徴収額(所得税)=(年金額―年金額の25%)×10.21%
○提出している場合には、
源泉徴収額(所得税)=(年金額―各種所得控除額)×5.105%
日本年金機構のホームページに載っている「扶養親族等申告書」のサンプル
主な所得控除 | |||
基礎的 | 受給者であれば全員 | 基礎的控除 | 65歳未満の方 |
65歳以上の方 | |||
人的 | 控除対象配偶者がいる場合 | 控除対象配偶者 | 3万2500円 |
老人控除対象配偶者 | 4万円 | ||
扶養親族がいる場合 | 扶養親族 | 3万2500円×人数 | |
特定扶養親族 | 5万2500円×人数 | ||
老人扶養親族 | 4万円×人数 |
0.21%といった細かいパーセンテージになるのは、東日本大震災の復興財源を確保するための復興特別所得税が含まれているためです。
扶養親族等申告書を提出していない場合、各種控除の調整がなされず、税率も高くなるので、本来の納税額以上に源泉徴収される可能性があります。もちろん、確定申告をすれば、納付しすぎた(源泉徴収されすぎた)税金は還付されますが、はがき一枚提出しておけば日々の年金の手取り額が多くなるのですから、忘れずに手続きしておくとよいでしょう。
なお、所得税のほかに住民税や介護保険料も年金から特別徴収(天引き)される対象となりますから、手取り額をきちんと把握しておくことが良いでしょう。(日本年金機構及び日経等より)
昨年の12月2日までに「扶養親族等申告書」を出されていない方は、平成26年2月以降に支払われる年金から源泉徴収される税金が引かれているので、確認する方が良いでしょう。