国内で建物修繕コンサルを手掛けるさくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長には、ふらりと出向く場所が海外にある。フィリピンのセブ島だ。
成田空港からセブまで直行便で約5時間。現在、島のビーチ付近にコンドミニアムを保有しているといい、投資収益としては年7~10%程度の利回りを目標としている。「フィリピンの年経済成長率は約7%と高く、外国人富裕層などの居住ニーズが拡大している」のが投資の理由だ。物件の値上がり益も視野に入れている。
むろんここまで来るのには多大な努力もした。「一般の大学受験生レベルだった」という英語力には半年間のオンライン英会話教室で磨きをかけ、フィリピンで短期の語学研修も受けた。長嶋氏ならではの人脈で信頼できる不動産業者を発掘し、購入前に物件の品質や業者の実績を検討できるまでになった。「英語による一定程度の交渉力がないと、正直いって海外の不動産経営は難しい」との感想を抱く。
人口の増加を背景に、7%近くの高い経済成長率を誇るフィリピン。同国での不動産投資に関心を寄せる日本人もいる。マニラ首都圏を中心に地下鉄やモノレールなどを含めたインフラ整備が急速に進展しつつあり、貧富の差は激しいものの、富裕層を中心に高級な住居に住もうというニーズが高まっている。
特に人気なのは大都市圏で建設が相次ぐコンドミニアムだ。フィリピン中央銀行の調べによると、マニラ首都圏の住居用不動産価格の前年同期比上昇率は2017年7~9月期で2.2%。このうちコンドミニアムは同2.4%だ。世界で不動産情報を集めるJLLはフィリピンの住居用住宅市場について、「外国企業の幹部や高所得者層らの流入が多い一方、供給が十分でないため、価格上昇は持続する見込み」と指摘する。
日本の不動産投資家によると、コンドミニアムの取得価格は例えばマニラの金融街マカティの中心部でも1,000万円台と、東京に比べれば安い水準だという。
ただし、フィリピンは1人当たり国内総生産(GDP)がまだ3,000ドル弱の新興国であるだけに、支払いが大きな額になる不動産市場は成熟していない。そのため不動産の取引慣行も日本と大きく異なる。ある日本の不動産投資家は「建物がいつまで待っても建たないので、予定していた投資利回りを大きく下方修正せざるを得ない」と嘆く。東南アジアで投資計画もあったが、思うように投資効果が得られないために撤収する方向だという。また国によっては外国人投資家が土地を買うことはできない。株式同様、政府が外国人による土地の売買を規制しているためだ。日本などの先進国に比べ、不動産売買の自由度が少ない点には留意したい。
ただし、日本の不動産業者もフィリピンの投資案件発掘を進めてはいる。ハロハロホーム(東京・港)はマニラに拠点を設け、現地の不動産開発業者と連携し、物件を開拓。「電気や水回り、配管などのチェックもしている」(最高経営責任者の鈴木廣政氏)。同国は工事の進捗が計画通り進まない上、完成した後のアフターフォローという概念がない場合が多いといわれる。従って「連携する不動産会社の誠実さや実績を調べ尽くすことが成功のカギ」(鈴木氏)になるのだ。
新興国の不動産投資は、国家プロジェクトだからといって安心してはいけない。例えばシンガポールに隣接するマレーシア南部の都市ジョホールバルで展開される「イスカンダル計画」。2020年までに東京都に匹敵する2,200平方キロメートルを開発する構想で、多くの投資用高層マンションが建設されている。しかし、細かく見ると供給過剰で空室が目立つのが実情といい、日本の不動産投資家からは「投資案件として手掛けにくい」との声も漏れる。
マニラの新ビジネス拠点・ボニファシオでは、新しい高層ビルの建設が進む
投資する前に現地に足を運ぶことも重要だ。「マニラの新興都市から自転車で15分」とうたわれた物件が、実際は治安などの関係で入り込むのさえ難しい一角にあったという話もある。アジア新興国の都市圏では、大通りを外れると貧困街が形成されているケースが多い。物件の場所と現地での利便性をしっかり聞いておく姿勢が大切だろう。
むろん現地の信頼できる不動産業者と人脈があり、現地人を動かせるコミュニケーション能力があるなら、投資の成功に近づく可能性はありそうだ。それに加えてトラブル発生時に現場に飛んでいく行動力があるなら、アジア新興国の不動産投資を検討する余地はあるかもしれない。(日経新聞等より)
以前、ボニファシオで泊まったときに、アヤラのコンドミニアム等を見学したが、内装や水周りはよくなっているようだが、マニラに住む気が無いためか、「高くなった」と感じた。(笑)
フィリピンのインフラ整備は急速に進み、建設ラッシュは地方都市やリゾート物件に及んで来た。舗装された道路も増え、サブデヴィジョンも多く出来ているし、今までは何も無かった所に建物が増え町と町が繋がり始めている。
バコロドでも温泉のあるマンボカルの上に、リゾートが新しくできたので見に行ったが、その周りの別荘地は思ったより値が高いと思うのに、見晴の良い場所から順に、医者や弁護士らが買っていた。また土地バブルにはなっていないようだが、高騰している。