東南アジアで中国によるインフラ事業契約獲得のニュースが相次ぐ中、同地域のプロジェクトへの資金供給では日本のリードが続いていることが最新の調査で明らかになった。
英調査会社BMIリサーチによると、2000年代以後の日本によるインフラ投資は進行中のものも含め総額約2,300億ドル(約24兆6,200億円)であるのに対し、中国は約1,550億ドルにとどまっている。こうしたプロジェクトの9割以上が2013年から後の着工日となっている。
少子高齢化が進む日本は、官民そろって海外市場に活路を見いだそうとしている。高成長を続けるフィリピンとベトナムではインフラ投資で日本の存在感は極めて大きい。ただ中国も習近平国家主席が進める現代版シルクロード構想「一帯一路」を通じそのルートに当たる各国で攻勢をかけている。
BMIリサーチのインフラ担当アナリスト、クリスチャン・チャン氏(シンガポール在勤)は「日本の企業や政府系機関はずっと先行して有利なスタートを切っている一方で、中国企業には、特定のセクターで日本勢を追い抜く可能性があるため大きな利点がある」とコメント。国際的な銀行や開発機関が石炭事業向け貸し出しへの制約を一段と強める中での、石炭火力発電所のファイナンス活動について指摘した。
アジアの2大経済大国は将来有望なこの地域の勢力拡大で競争を繰り広げている。きらびやかなシンガポールから共産党の一党支配が続くベトナムに至るまでアジア各国の政府は投資の呼び込みや雇用拡大に向け、空港や有料道路、都市部の高速通勤鉄道の建設を進めている。
インフラ整備は、アジア経済を牽引(けんいん)する中心的なエンジンになってきている。インドネシアは250件を上回るパイプラインを建設、フィリピンは1,800億ドル余りを投じた都市部の鉄道、道路、空港建設を計画。シンガポールは都市部鉄道への投資を倍増させている。各国は財政負担を和らげるため、喜んで取引に応じる、裕福な隣国に目を向けている。
日中の競争はまだまだ続く。英金融大手HSBCは、全てのプロジェクトを賄うほどの公的資金はなく、中国が追い付く可能性があるとしている。中国は一帯一路構想の下で過去2年の間に数々のインフラ事業契約を獲得していると言う。
■2000年以降の東南アジア インフラ事業支援件数
被支援国 中 国/日 本
カンボジア 20/2
インドネシア 46/47
ラオス 31/6
マレーシア 30/16
ミャンマー 6/8
フィリピン 7/28
シンガポール 12/23
タイ 5/22
東ティモール 4/1
ベトナム 30/84
合 計 191/237 (出所:BMIリサ-チ) (Sankei-Biz等より)
中国は、途上国への融資を全面にぶら下げ、中国のヒト・モノ・カネで開発を行い、お金が返せないとなると、スリランカ等に見られる99年租借で自分のものにしてしまうやり方には抵抗がある。途上国もよく吟味して侵略されないことだと思う。