米ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「空飛ぶ車」の構想は「われわれが考えているよりも早く実現すると思う。今まさに、リアルなプロトタイプ車が製造されつつある。テクノロジーは極めて実現可能だ」と話した。今後10年以内に、自律操縦の飛行機が高層ビルにぶつからないように都市の道路の上を浮かぶように飛ぶ可能性はあるとみている。
ボーイングは昨年、オーロラ・フライト・サイエンシズの買収を通じ、自律飛行という革新的な技術を手中に収めた。オーロラが手掛けるプロジェクトには、配車アプリの米ウーバー・テクノロジーズと開発中の「空飛ぶタクシー」が含まれる。ウーバーはこの「エレべート」構想で、米ベル・ヘリコプターに加え、ボーイングが統合協議を進めるブラジルのエンブラエルとも提携している。
1980年代後半から自律飛行技術を手掛けているオーロラは、垂直離着陸(VTOL)が可能な2人乗りの無人機「eVTOL」を開発。「バーティポート(垂直離着陸用飛行場)」を結び乗客を運ぶ計画で、試験飛行は2020年にもダラスとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで始まる可能性がある。
コンサルティング会社デロイトが新たにまとめた研究報告によれば、2人から5人の客を乗せて飛ぶドローンが今後2年以内に市場に投入される可能性もある。米航空宇宙局(NASA)でさえ「アーバン・エア・モビリティー」と呼ぶ都市の空間移動をめぐる実現可能性を調査している。だがこうしたテクノロジーの普及も、まずは安全性を確保してからだ。当局は従来からの飛行機と空飛ぶタクシーをどのように交通整理するかから着手することになる。それぞれがぶつからないようにするには、人工知能(AI)やセンサー技術の飛躍も必要になる。
人を運ぶドローンに関して当局から認可を得るには多額の投資と数年を要することになりそうだ。だが、その前に米連邦航空局(FAA)などの監督機関は認可基準を定める必要がある。今のところ何もない状況だ。マサチューセッツ工科大学(MIT)でこの問題を研究・調査しているジョン・ハンスマン教授(航空学)は「FAA側はどのように規制すればいいか心配しているが、まだ誰にも分かっていない」と語る。
一方、米IT大手グーグルの共同創業者、ラリー・ペイジ氏が支援するベンチャー企業、キティホークは、空飛ぶタクシー「CORA(コーラ)」の試験飛行をニュージーランドで始めたと発表した。商用化の時期は未定。
米キティホークが試験飛行を始めた空飛ぶタクシー「CORA(コーラ)」
空飛ぶタクシーをめぐっては米配車大手ウーバー・テクノロジーズも2023年に実用化する構想を明らかにしており、開発競争が激しくなりそうだ。
コーラは主翼に計12のプロペラが付いており、ヘリコプターのように垂直に離陸し、飛行機のように水平に飛ぶ。滑走路が不要で、建物の屋上から離陸ができる。自動飛行のソフトウエアを搭載し、遠隔地から飛行状況を監視する。
試験飛行の場所にニュージーランドを選んだのは航空当局の認証と規制が国際的に評価されており、政府も協力的な姿勢を示しているため。昨年10月に初号機を輸送し、試験飛行を既に始めている。
コーラは2人乗りで、動力源は電気。地上約150~900メートルを時速約180キロで飛ぶ。航続距離は約100キロと言う。(Sankei-Biz等より)
そろそろ「空飛ぶタクシー」の時代が来るようだ。ただ、自動車での交通渋滞を避けるために導入しても、「空飛ぶタクシー」で渋滞しては困りもの。安全技術と規制の早期確立が必要なようだ。