富士通は、ITサービスのオフショア(海外委託)事業を拡大するため、フィリピンのセブ島に新拠点「グローバルデリバリーセンター(GDC)」を開設した。セブ島はフィリピンの中でも日本語の習得者の比率が高く、米企業向け開発案件で高いスキルを身につけたソフトウエア技術者も多い。
セブに開発拠点を置くのは日系大手IT企業では初。日本向けソフト開発を中心に約200人で立ち上げ、2年後には400人体制にする。
フィリピンのGDCはマニラに続き2カ所目。マニラでは1,000人体制で米国やアジア太平洋向けを中心に、ソフトのオフショア開発や、ITインフラの遠隔監視・運用サービスを提供している。顧客の問い合わせに対応するサービスデスク業務も担当する。
セブの拠点では当面、日本企業向け業務アプリケーションの開発に力を注ぐ。ユーザー固有の要件に応じた開発や運用なども手がける。個別開発では客先と踏み込んだ意見交換が必要なため日本語に堪能な技術者をそろえた。
同国のプログラマーの単価はインドよりも割安。セブはマニラよりも人件費が安く、治安もよいため、日本向けオフショア開発拠点として発展する公算が大きい。日系IT大手ではNECグループの日本電気通信システム(東京都港区)がフィリピンに開発拠点を持つが、セブには富士通がいち早く進出した。今後は日本語以外の多言語対応の利点なども生かし、サービス対象地域を拡大する。
GDCはフィリピンに加え、インドやロシア、中国、マレーシアなど世界8カ所にある。合わせて1万人超が従事し、120万人以上のユーザーが使う100万以上の情報通信技術(ICT)機器に対して、24時間365日体制で40言語でサポートしている。(日刊工業新聞等より)
近年セブは、日本からの直行便も増え、観光だけでなく語学留学で来る日本人も多いし、治安もマニラより良い。フィリピンではマニラに続き人口の多いセブに開発拠点を置く企業が今後も増えてきそうだ。