20歳になったら、必ず加入しなければならなくなるのが国民年金。20歳になったのを喜んでてしばらく経つと、「国民年金保険料払ってください」と、納付書が届きます。
20歳前月くらいから国民年金資格取得届という書類が送られてきますので、市役所または年金事務所で手続き後に年金手帳が送付されてきます。大学等によっては大学の窓口で申請を受け付けている所もあります(学校に確認してみてください)。
とはいえ、手続きをしなくても20歳到達日(20歳誕生日の前日)を迎えたら強制加入なので、手続きするから加入というものではありません。
平成28年度の国民年金保険料は月額16,260円で、平成29年度の国民年金保険料は月額16,490円です。国民年金保険料というのは本人だけでなく、その配偶者や世帯主も本人の分の国民年金保険料納付義務があります。
20歳というとまだ学生という人も多いと思いますが、いくらアルバイトをやっていてもなかなか高い保険料ですね。国民年金保険料を支払うのが困難な場合は学生納付特例という免除が使えます。
※学生納付特例免除が使える学生の範囲等(日本年金機構)
初めに送られてくる国民年金資格取得届と一緒に学生納付特例の書類も入ってるので、保険料を免除したい人は同時に学生納付特例の申請もすると良いでしょう。学生本人の前年所得が原則として118万円以下なら免除になります。
申請の際は印鑑と学生証(コピーでいい)、または在学証明書(原本)を持って市役所または年金事務所に手続きをします。待ち時間を除けば、5分くらいで手続きは終わります。
学生納付特例の免除は4月から翌年3月まで免除扱いになります。なお、学生として過去2年1ヶ月以内に未納がある場合は遡って免除になります。だから申請時点から遡って2年1ヶ月以内と翌年3月までは免除にできる。
※参考:仮に3月、学生納付特例免除を申請したら過去2年1ヶ月から今年3月まで免除を適用。4月になったらまた申請して来年3月まで免除となります。
ちなみにこの学生納付特例の全額免除は、普通の全額免除と違って将来の年金(65歳から支給される老齢基礎年金。平成28年度満額は780,100円)に反映しません。
※注意:平成3年4月~平成12年3月までの学生免除は、年金額に反映するので注意。老齢基礎年金の3分の1に反映する。
平成3年3月以前の20歳以上の昼間学生だった人は強制加入ではなく、任意加入でした。もし加入してなかったのであればカラ期間として、年金貰うのに必要な期間25年に含まれる(今年8月から10年に短縮)。ただし、定時制や夜間、通信だった人は任意加入ではなくずっと強制加入だった。専門学校は昭和61年4月から平成3年3月までが任意加入。
例えば、学生ではないけど所得が低くて国民年金保険料を支払うのが困難な場合は通常の申請による免除(一般的な申請免除)が使えて、仮に全額免除が承認された場合はその全額免除は税金が半分投入されているので将来の老齢基礎年金の年金額の2分の1(平成21年4月以降の期間から2分の1)に反映します。極端な話、20歳から60歳まで全額免除でも年額390,050円(半額)は受け取れる。
尚、学生納付特例じゃなくて申請免除をしようと考えても、学生は申請免除は不可(法定免除は学生でも適用する)。
※国民年金保険料の法定免除(日本年金機構)
そして学生納付特例は「将来の年金額に反映しないなら、未納と変わらないんじゃ?」と思われそうですが、そういうわけじゃない。
未納のままだと、何か大きな怪我とか病気になって長期療養が必要になったり、または、障害が残るような事があるといざという時に障害年金が貰えない事態になりかねない。
自分が死んだら家族に遺族年金という事もありますが、遺族年金は厚生年金加入中の死亡でもない限り、18歳未満の子を持つ配偶者、または、18歳未満の子が居ないと支給されないので学生にとってはあんまし重要ではないですが、自分が重い傷病を負った場合に支給される障害年金が非常に重要になってくる。
※国民年金から支給される遺族基礎年金(日本年金機構)
前に言ったように、年金制度っていうのは保険料払って貯蓄しているわけではなく保険をかけてる(老齢・死亡・障害という所得が得られにくくなるリスクに対して保険をかけている)状態なので、万が一の事があってもその万が一までに未納が多いんなら年金は支払いませんよって話になるわけです。
遺族年金は自分が死んだ時に残された遺族が路頭に迷わないためですね。そして、とりあえず未納ではなく免除という形を取っていれば、万が一の日まで未納ではないから障害年金を請求して大丈夫ですよという事になります。未納と免除は全く別物です。
障害年金は原則として1~5年に一度は診断書を出して、障害の状態を確認しますが傷病が治るまでは原則としてずっと支払われるもの(もう治らないなら一生という場合もある)なので、とても強力な年金。国民年金から出る障害年金(障害基礎年金)は障害状態が2級なら年額780,100円。1級は975,125円。
20歳になれば国民年金に強制加入とはいえ、障害年金というのは傷病により初めて病院に行った日(初診日)の属する月の前々月までの直近1年間に未納が無いか、または、3分の2以上は保険料を納めているか免除期間でないといけません。
初診日という保険事故が起きるまでにあんまし未納が無いようにしといてねっていう条件があるわけです。20歳前半はまだ保険料を納めるべき期間が少ないので特に危険なんです。
例えば今月1月に20歳を迎えました。1月分から保険料納付義務が出てきます。
3月に事故に遭い病院に運ばれたものの、何らかの障害が残る事になりました。1月は未納だった。…となると、いくら障害が重くても障害年金をもらう事は出来ません。病院に行った日以降に慌てて過去の年金保険料を支払ったり、もしくは免除申請をしても不可です。
くどいようですが、年金は保険だから保険事故が起きるまでに一定期間保険料を納めてるか、または免除にしておく必要があるんです。後出しジャンケンはダメって事ですね。
20歳前半なら若いし、そんな簡単に重い病気にはならないだろうと思われるかもしれませんが、病気や事故はわかりません。学生さんは絶対に未納にはせずに学生納付特例を利用した方が良いでしょう。なお、学生というのは別に20代に限った話ではなく、60歳までに学校通う人を学生といいます。
ちなみに20歳前から何らかの重い病気や怪我を負っている人は、20歳以降になれば障害基礎年金を請求する事ができます。20歳前は保険料を払ったり免除にはしていませんが、20歳前は国民年金に加入して保険料を支払う義務がない時なのですが、障害基礎年金(20歳前障害基礎年金という)が保障されます。なお、保険料を免除したり、保険料支払わずに貰える福祉的な障害年金なので、通常の障害年金とは異なり、所得制限やその他制限があります。
※補足:学生納付特例で保険料を免除した部分は将来の老齢基礎年金に反映しないため、年金額に反映させるために過去10年以内であれば免除の部分を遡って保険料を納める事が出来ます(追納)。1ヶ月分の保険料納めたら約1,625円の年金額になります。
ただし、3年度以前の保険料を追納する場合は当時の保険料に一定の加算金が付きます(当時の保険料より高い保険料を支払う事になる)。
また、学生納付特例で免除にしたけど、途中で学生納付特例を辞めて保険料を納付したい場合は学生納付特例の取り消しの申し出ができる。
一般的な保険料申請免除の取り消しは、取り消しを申し出た月の前月分以降を取り消しますが、学生納付特例免除に限っては年度始めの4月に遡って取り消しする(つまり年度でまるまる取り消します)。(MAG2NEWS等より)
厚生労働省が発表した平成27年度の年金額は、①国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を支払った人で、1人1カ月6万5,008円。また、②厚生年金から夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として22万1,507円とのこと。
これはあくまでも標準的なモデルで、厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で、40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が平成27年度に年金を受け取り始める場合の給付水準です。(厚生労働省発表「平成27年度の年金額改定について」)
実際の平均受給額は、国民年金が5万4,414円、厚生年金が14万4,886円で、国民年金は平成24年度まではわずかながら受給額が伸びていましたが、平成25年度からは下がってきています。40年間保険料を納めた満額であれば、平成26年度から平成27年度は月608円増額になっていたのですが、実際には減額になっています。受給権者の納付状況がよくないためにこのような結果になっているようです。ただ、厚生年金の受給権を持たない人の国民年金の平均を見ると、49,944円でさらに低い水準となっています。
上記の老後の年金だけでなく、障害保険も付いているに年金は、何かの時のためにも若い人たちも入っていた方が良いようですね。