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Channel: フィリピン・ネグロス島(主にバコロド)の話
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朝型と夜型の健康格差?

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 皆さんの生活スタイル、つまり朝型なのか夜型なのか、についてです。皆さんがどちらのタイプなのかを調べ、さらに朝型、夜型の特徴、健康へのリスクについて解れば良いでしょう。
 
 朝型、夜型などの生活スタイルを、研究分野では「クロノタイプ」と呼ぶそうです。まずは、自分の生活スタイルがどのクロノタイプに当てはまるのか考えてみましょう。クロノタイプを調べる方法はいくつかありますが、ここではドイツのティル・ロネンバーグ教授が考案したMCTQという質問紙を用いた方法を紹介します。

 その質問紙では、「何時何分に寝床に入りますか?」「眠りにつくのに何分かかりますか?」「何時何分に目覚めますか?」といった質問を平日、休日それぞれ聞きます。実際には、仕事の時刻や食事調査なども含まれ、最終的に少し複雑な計算をしますが、今回は簡易的に説明します。

イメージ 1
20歳~81歳の日本人男女450人に、MCTQを回答してもらい作成した休日の睡眠中間時刻と人数の分布図(Kitamura et al., Chronobiol Int, 2014より改変)。実際は平日の睡眠不足を考慮した補正を行うが、ここでは単に休日の中間時刻のみを示す。

 それでは、自分の「休日」の睡眠時刻を思い出して、その中間時刻(寝ている時間のちょうど真ん中の時刻)を計算してみてください。例えば、24時に寝て7時に起きるのであれば、3時半が中間時刻となります。

 ここで図1を見てください。これは日本人の男女450人(2081歳)を調べた結果です。横軸が中間時刻、縦軸は人数になります。つまり3時~5時ごろが中間時刻だった人が多いことになります。ここで、何時から何時が朝型ですといった決まりは有りませんが、もし中間時刻が3時半であれば、この図ではほぼ「中間型」と考えていいと思います。皆さんはどうでしょうか? 

 この図から分かる通り、大体の人は中間型になります。後述の病気リスク等の話は、この図でいう極度な朝型、または極度な夜型の人における調査結果なので、少し夜型だから大問題だというわけではないことにご注意ください。

イメージ 2
10~80代の男女5万5,000人を対象に調べた睡眠中間時刻の結果(Roenneberg et al., Sleep Med Rev., 2007より改変)。20~30代で最も夜型化し、その後朝型化している様子、さらに女性よりも男性で夜型化しやすい傾向が見て取れる。

 上述のティル・ロネンバーグ教授は、10代から80代までの男女5万5,000人にこの質問紙を用いてアンケート調査を行った結果を発表しています。その結果から分かったことは、年齢によって朝型、夜型が変化しているということでした。

 図2を見ていただくと、10代では中間時刻が3.5時だったのが、20~30代では約5時にまで後退しています。つまり青年期は成長と共に夜型化していく、ということです。しかし、その年代をピークに、その後段々早まっていき、60~80代では約3時と朝型化しています。
 
 この結果から明らかなように、高齢者は早寝、早起きであり、やはり朝型が多いのです。また、黒印は女性、白印は男性を示していますが、男性の方がより20~30代の夜型化が顕著であるのが分かります。この男女差が生まれた理由はまだよく分かっていませんが、男性は社会的な影響(仕事など)も大きいのかもしれません。
 
 では、クロノタイプの違いによる健康への影響はあるのでしょうか?いくつかの報告から、夜型はBMIが高い傾向にあり、さらに摂食障害、アルコール依存症への罹患リスクが高いことが分かっています。特に食に関して言えば、夜型の人は朝食を食べない傾向があり、さらに“むちゃ食い障害”になるリスクも高いことが報告されています。

 むちゃ食い障害は一種の過食性障害であるので、夜型の人は過食傾向になりやすいのでしょう。また、食パターンが夜型化することは、体内時計の夜型を促進し、また肥満も促進します。よって、一度夜型生活を始めてしまうと、そこから抜け出すのは困難になるようです。

 また夜型の人は、躁うつ病になりやすいことも報告されており、逆に躁うつ病患者を調べてみても夜型の割合が高く、メラトニンやコルチゾールといったホルモンの日内変動にも遅れが見られます。

イメージ 3
10~80代の男女5万5,000人を対象に調べた睡眠中間時刻の結果(Roenneberg et al.,Sleep Med Rev., 2007より改変)。○は休日の、●は平日の睡眠時間を示す。夜型の人ほど平日の睡眠減少、休日の睡眠増加が見られる。

 夜型の方が健康への影響が大きいのは、睡眠不足が大きな要因になっていると考えられています。どうして夜型の人が睡眠不足になりやすいかというと、「社会的時差ボケ」が関連してきます。今回、休日の睡眠時刻を元に皆さんのクロノタイプを判断する方法をご紹介したのは、休日の睡眠時間の方が個人の体内時計をより反映した結果であるためです。実際、ほとんどの人は、平日は会社や学校といった社会的な理由により、早起きを強いられています。

 ティル・ロネンバーグ教授の調査結果でも、図3のように夜型の人ほど、平日と休日の睡眠時間に差が生まれているのが分かります。よって、夜型の人ほど平日に無理に早起きし、だけれども夜は遅くまで起きてしまう傾向にあり、結果的に睡眠不足になるわけです。これを平日の睡眠負債の蓄積と表現し、夜型の方は休日にたくさん寝ることで睡眠負債を解消するのです。(毎日新聞等より)





 若い時に休日の寝溜めをした人が多いと思いますが、昔から言う「早寝早起き8時間睡眠」で朝型の方が健康には良いようです。












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