フィリピンは、自然災害による経済的損失が世界最悪水準となっている。世界銀行は自然災害が貧困に与える影響と対策に関する報告書をまとめた。それによると、同国は災害による年間損失が調査対象の117カ国・地域のうち最大規模だった。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。
同国の災害による年間損失額の国内総生産(GDP)比はここ数年の平均で消費など生活関連が6.5%、資産が4.5%となり、117カ国・地域のうち最も高かった。2015年のGDPを基に算出すると、生活関連損失額は4,936億ペソ(約1兆1,189億円)、資産で3,417億ペソに達したもようだ。
世界全体をみると、生活関連の損失は、最小がデンマークの0.005%、平均が0.63%。資産の損失は、最小が同じくデンマークの0.006%、平均が1.1%となっており、フィリピンの損失比率が突出して高いことがうかがえる。
また同報告書によると、117カ国・地域のここ数年の平均損失額は、年間5,200億ドル(約58兆7,860億円)に達し、自然災害が原因で毎年2,600万人が貧困層に転落しているもようだ。
さらに、貧困層は資産がもともと少ないために失われる割合も大きく、家族や友人、金融システムや政府などから支援を受けられないことが多いとも指摘。ここ数十年にわたる貧困対策の成果が脅かされていると警鐘を鳴らした。
世銀のジム・ヨン・キム総裁は「台風や洪水、干魃(かんばつ)といった自然災害で最も大きな被害を受けるのは貧困層だ」と述べ、インフラ整備などを進めて災害への耐性を高めることは経済的にも道義的にも重要だと訴えた。(Sankei-Biz等より)
フィリピンの面積は、約30万㎢で世界で72番目(日本61位)。人口密度は世界で22番目(同24位)であるが、日本と同様に環太平洋火山帯の一部で、太平洋に面しており台風の災害も受け易い。インフラ整備も遅れており、自然災害の被害を受けやすい。特に貧困層は、海や川の近くで住まざるを得ず、自然災害の被害を真面に受けてしまう状況にあります。改善が望まれます。