フィリピンの内国歳入庁(BIR)は、観光産業の税制優遇規定を発布した。2009年観光法(共和国法第9593号)には観光事業区(TEZ)に入居する企業への優遇措置の適用が盛り込まれているが、BIRによる関連法令の整備が遅れていた。
BIRは、歳入規則2016年第7号を昨年11月15日付で発布した。新聞に掲載されてから15日後に発効する。地元紙ビジネスワールドによると、11月21日付紙面に掲載されたため、12月6日に発効となった。
同規則によると、TEZに入居する企業には、①6年間の法人税免除措置(インカム・タックス・ホリデー=ITH、最長6年の延長が可能)②観光インフラ経済区庁(TIEZA)が承認した活動に関する資本財と機材輸入の関税免除③同輸送機器とその交換部品の輸入関税の免除――などが付与される。
TEZに入居していない観光関連企業も、観光インフラ経済区庁(TIEZA)が承認すれば、優遇が受けられる。観光関連企業には、旅行代理店、観光客輸送サービス、宿泊施設、レストラン、テーマパークなどが含まれる。
2009年観光法には、優遇措置の有効期限が同法発効から10年と規定されているため、優遇の適用期間は2019年半ばまでとなる。期間延長については、今後検討するという。
それだけでなく、フィリピンの投資委員会(BOI)は、国内市場向け投資に関する優遇措置の付与条件を緩和する考えだ。従来の「地場企業と輸出産業の優先方針」を見直し、内需分野に投資する外国企業への優遇などを視野に入れている。
また、フィリピン経済区庁(PEZA)は、国内の複数箇所に国防機器の製造などに特化した経済区(防衛特区)を開設する計画をしている。設置先として、他国との紛争地域に近いパラワン州や国際空港を抱えるクラーク自由港(パンパンガ州)などが有力視されているという。
これらを受けていろいろと動きが出ている。首脳会談で決まった日本や中国の投資案件の他に、例えばカタールとアラブ首長国連邦(UAE)の王族がフィリピンでの農業、エネルギー関連投資を検討していて、最大100万ヘクタールの農地を借り受けて特別経済区として運営し、青果を自国に輸出する計画をしていて、フィリピンへの幾つかの投資を考えているという。