金型・金型部品製造の大同DMソリューション(大阪府大東市)は、10月からフィリピンのラグナ州で自動車部品向け金型部材の加工と販売を始めた。海外進出はメキシコ、インドに次ぐ10カ国目。当地で2017年から日系自動車メーカーの増産が本格的に始まることから、金型部品の需要増を見据えて拠点を設置した。2020年度に4億円の売上高を目指す。
現地法人ダイドーDMSフィリピンを今年4月に設立した。フィリピン経済区庁(PEZA)の認定を受け、ラグナ州ビニャンの「ラグナ・テクノパーク」に500平方メートルの工場を取得。現地スタッフ約10人を雇用し、自動車部品向けの金型部材を加工販売する。部材は100%日本の親会社から調達する。
新車の販売台数が年率2割の勢いで伸びるフィリピンでは、現地での生産台数も拡大している。フィリピン政府は現地生産を後押しする「包括的自動車産業振興戦略(CARS)」プログラムを2015年から始動。対象メーカーとなったトヨタ・モーター・フィリピン(TMP)と三菱モーターズ・フィリピンズ(MMPC)は来年以降、増産に乗り出す。特にMMPCは引き上げ幅が大きく、年産台数を昨年の約1万6,822台から2017年度は3万9,000台へ増やす計画だ。
大同DMソリューションで海外統括部長を務める執行役員の北田博治氏によると、ルソン島には金型メーカーが約100社あるという。増産に乗り出すトヨタ自動車や三菱自動車に供給する金型・部品メーカーが、ダイドーDMSフィリピンの顧客になる。北田氏は、「CARSプログラムによって金型の需要が爆発的に伸びるという認識ではない。ただ、人口1億人を突破したフィリピンは自動車市場が着実に広がっていくと考える」と話す。
フィリピン拠点の設置に伴う投資額は3,000万円と、同社のインドやメキシコ拠点と比べて規模が1桁小さい。「小さく生んで時間をかけて育てていく」(北田氏)考えだ。まずは2017年度に2億円、2020年度に4億円の売上高を目指す。(NNA等より)
フィリピンの「包括的自動車産業振興戦略(CARS)」プログラムによって、自動車製造メーカーだけでなくそれに付随する会社の進出が始まっている。裾野の広い自動車産業に期待するものは多そうだ。