DHAやEPAは「魚の油」で、健康に良いと言われる「えごま油」と同じである「オメガ3」という脂肪酸の種類に含まれます。この魚由来のオメガ3が、60歳以上の男女で筋肉量、筋力の増強が確認されたと、アメリカ・ワシントン大学医学部研究チームの発表がありました。(臨床栄養学専門誌American journal of clinical nutritionのオンライン版)
60歳以上の男女が6ヶ月間、魚由来のオメガ3を摂取し続けたところ、摂取しなかったチームよりも良い結果が得られました。
・ふとももの筋肉量3.6%増
・握力2.3kg増
・最大筋力4%増
ダイエットをするにも、体を鍛えるにも、まずは下半身から、とよく聞きます。今回の実験結果では、特に脚の筋力の増加傾向が見受けられました。そして、高齢になってくると起こる筋肉量や機能の低下を遅くする効果があるとも、言及しています。
筋力量が減少すると、体が動かせなくなるばかりではなく、体脂肪量が増えやすくなります。その結果、体重は変わらなくても、肥満になってしまいます。
この加齢によって筋肉量が減少する現象を「サルコペニア(ギリシア語で筋肉(サルコ)+減少(ぺニア)」と呼び、近年注目されるようになりました。
40歳以上の4人に1人が、このサルコペニアの予備軍やサルコペニア肥満になっていると言われています。
肥満になると、高血圧や糖尿病の危険性も約20倍と大幅に高まってしまいます。
魚由来のオメガ3は筋肉の低下を遅くするとも言われているので、サルコペニアの予防や生活維持の対策にもなる結果だと説明しています。
「脂の乗った魚は美味しい」と言いますが、この「魚の油」こそがまさにオメガ3なのです。焼いたり、煮たりすると「魚の油」が出て行ってしまうので、効率よく摂取しましょう。
サバ、マグロ、いわし、サンマ、ぶり、サケ、ニシンなどの青魚がオメガ3を豊富に含んでいます。生食はもちろん、ホイル焼きや汁ものなど調理方法を工夫して、「魚の油」をしっかり摂れるようにしましょう。
文化遺産に登録され、世界的に和食が注目されていますが、日本ではまだまだ欧米食が中心で、ハンバーガーや丼などのファーストフードが定着しています。
魚を食べるだけで筋肉に効果が表れて、サルコペニアという症候群の予防もできるなら、日本人こそ和食を見直して、毎日の食事に取り入れると良いですね。
欧米人は肉食が中心のため、魚はあまり食べなかったのか、マグロとカツオの呼名がツナです。ヘルシーな日本食ブームで魚が注目されてきました。日本人も負けずに、日本古来から慣れ親しんだ魚を食べて、筋力アップしましょう。(笑)