フィリピンは貧困削減、格差縮小を目指して自国産業の支援・育成に努める。国家経済開発庁のバリサカン長官によると、同国政府は重点産業5分野を指定し、年内に発表する「フィリピン開発計画」に支援・育成計画などを明記する方針を固めた。現地紙インクワイアラーなどが報じた。
5分野の内訳は観光業、IT(情報技術)・BPO(ビジネス・プロセッシング・アウトソーシング=業務の部分的な受託事業)産業、農業、製造業、住宅建設業。同国政府は雇用拡大を重視して各産業の強化を図るほか、最も効果的な貧困層への支援策として住宅供給を急ぐ。同長官は「成長の恩恵が自然に浸透するのを待っていられる状況にない」と述べ、貧困削減・格差縮小に向けた決意を示した。
同国の昨年の経済成長率は、6.8%。今年1~3月期は7.8%と成長が加速し、中国(7.7%)などを抑えてアジアで最も高い伸び率を記録した。
しかし、昨年の貧困層が人口に占める割合は27.9%とアジアで最も高く、06年の28.8%から改善していない。このため国内では成長の恩恵を実感できない国民の不満がくすぶっている。(Sankei-Bizより)
フィリピンは、今年1~3月期の国内総生産(GDP)の伸び率が7.8%を記録し、好景気に沸くフィリピンだが、雇用状況はますます悪化するという矛盾に直面している。
フィリピン国家統計局の調査によると、4月の失業率は7.5%で、前年同月比で0.6ポイント悪化し、過去最悪を記録した2010年4月の8%に迫る勢いで、「雇用拡大無き経済成長」と言われ始めている。原因は、経済成長が社会全体の雇用底上げにつながらないというフィリピン経済特有の収入構造にあると指摘されている。
そのために、フィリピン政府は、 「早急な雇用創出に向けてあらゆる手立てを打つ」と明言し、上記5分野に力を入れていこうと、外国からの投資を積極的に呼び込み、観光や製造業分野でのインフラを整備し、雇用拡大を図る方針を打ち出してきている。
そのせいか、確かにフィリピンの直接投資が拡大しているが、他のアジア周辺国と比べればまだまだ少ない。この少ない理由の一つとして、資金調達、会社設立等の点で、投資環境の未整備が挙げられ、これらの事を考え併せて行かないと上手く行かないように思える。