2013年に発表された国際機関などによる8つの主要競争力指標において、7つの指標でフィリピンの順位が上昇した。唯一上昇しなかった世界IT 競争力においても、フィリピンは86位で前年の順位と全く同じであり、下落したわけではなかった。
世界経済フォーラム(WEF)による国際競争力ランキングでは、2013年は59位で、前年の65位から6ランク、前々年の75位から 16ランク上昇した。
管理開発機構(IMD)による世界競争力ランキングでは38位で前年の43位から5ランク、前々年の41位から3ランク上昇した。
国際金融公社(IFC)などによるビジネス環境度ランキングでは、2013年は108位で、前年の138位から30ランクの急上昇を見せた。
世界知的所有権機構(WIPO)による技術革新度でも90位で前年の95位から5ランク上昇している。
トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)による汚職に対する清潔度においても、2013年は94位で前年の105位から11ランク、前々年の129位から35ランク急上昇している。
WEFによる旅行観光競争力においても82位で前々年の94位から12ランク上昇している。
一方、平和基金(FP)による破綻可能性(順位が低いほど破たんの可能性が少ない)では59位で、前年の56位から3ランク、前々年の51位から8ランク改善している。
米国シンクタンクのヘリテージ財団(HF)とウォールストリート・ジャーナル(WSJ)による経済自由度においても、2013年は97位で、前年の107位から 10ランク、前々年の115位から18ランク上昇した。
ただ、この経済自由度は、既に今年1月14日に2014年版が発表されて、フィリピン順位は89位で更に8ランク上昇している。フィリピンは60.1ポイント(前年58.2ポイント)で、「Mostly Unfree(59.9~50ポイント)」から「Moderately Free(69.9~60ポイント)」になった。項目別では、政府支出のコントロール、投資自由度、ビジネス自由度、金融自由度が改善し、ランクアップにつながった。いずれにしても、幸先の良いスターとなった。
このような国際競争ランキングにおいて、フィリピンの順位が急ピッチで上昇していることに関して、フィリピン政府は、「アキノ政権が推進してきた汚職・腐敗追放、財政規律の改善、適切な経済運営などの奏功の結果である」と自賛している。そして、3年後の2016年には、世界ランキング上位3割入りを目標 とすると表明している。
ただし、フィリピンの順位そのものは依然総じて低ランクであり、上位3割入りには、官民一体の改善努力が必要であろう。(フィリピン官報等より)
フィリピンは、世界IT 競争力の順位に変動は無かったが、それ以外の項目に対しては改善されてきている。
アセアン内の競争力順位は、4~7位に留まっており、フィリピンの順位はまだまだ低ランクである。
今後も汚職・ 腐敗追放、財政規律の改善、適切な経済運営などのより一層の強化や、生活や産業の基盤であるインフラ整備を強力に推し進めて欲しいものだ。